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あとがき


もうお気づきだと思いますが、この物語の「失敗者」は、僕自身です。

この物語は小説であり、フィクションです。すべての登場人物はオリジナルの創作です。ただ、特に佐伯零一には、僕の経験が色濃く投影されています。事業の失敗や、家族との関係性。物語として再構成していますが、佐伯零一に関しては、根底にあるものは全て本当のことです。

自分のことを正直に書くのは、難しいことでした。向き合いたくない過去ほど、言葉にしようとすると手が止まる。けれど、物語という形だからこそ、ごまかさずに語ることができました。

翼をはじめとした登場人物は、僕がビジネスを通じて出会ってきた多くの人たち——特に若い人たち——との出会いから生まれています。頑張っているのにうまくいかない。正しいことをしているはずなのに、大切なものが壊れていく。それは彼らだけの話ではありません。僕自身が、ずっとそうでした。もしあなた自身が今、何かの壁の前に立っているなら——この物語が、何かのきっかけになることを願っています。


この物語には実在するビジネスフレームワークが埋め込まれています。これらは、僕自身のビジネス人生の中で、「これだけは最初に知っておければ」「身につけることができていたら」と強く思うものだけを選びました。

また、僕自身が日常的に活用しているものだけを、できるかぎり使いやすいように盛り込んでいます。すべて机上の空論ではなくて、物語の「起承転結」のように、実際に役に立つ「知恵」だと思っています。

ストーリーを通じて経験することで、単に知識として読むよりもずっと深いところに届くと信じています。ビジネスという現場では、やはり、戦って勝つことも必要です。そのために使えそうだなと思ってもらえたなら、すこし時間を置いて、血肉になるように読み返してみてください。翼にとってそうだったように、あなたの力にしてもらえたら本望です。


これまで関わってくれたすべての人に感謝します。家族、友人、そしてこの物語のモデルとなったかつての仲間たちに。できることなら、お世話になった人たち全員に読んでもらいたい。

失敗を通じて、たくさんの人を失望させてしまいました。迷惑をかけたことも多々ありました。それに言い訳をすることはできません。

ただ、誰よりも失敗を重ねてきた人間として学んだことがあります。失敗の痛みを避けて挑戦をしなければ、何も生み出せなくなってしまう。でも、その失敗から何かを学び、未来に活かすのであれば——取り返しのつかない後悔も含めて、全てに意味が生まれるのではないか。

だから、この物語を——過去の挑戦を分かち合った人たちへの手紙として読んでもらいたい。事業の仲間や投資してくれた人だけでなく、関わったすべての人へ。作中で佐伯が黒沢に「読んでくれ」と送ったように。


はじめにでも書いた通り、僕は長い間、ビジネスを——もっと言えば社会そのものを——恐れていました。好きになれないまま、それでもしがみつくように続けてきた。いま僕が思っているのは、自分のOSの本質を直視できていなかったことが、多くの人を巻き込む原動力になると同時に、結果として傷つけもした原因なのではないか、ということです。でも、この物語を書くことを通じて、自分の背景とも向き合い、次に進むべき道が見えたと感じています。

なぜ好きになれなかったのか、どうやってそれを受け入れたのか。もっと具体的に聞きたいと思われる方もいるかもしれません。いつか、そうした機会があればと思っています。ただ今日のところは、この物語と登場人物たちに託させてください。

この物語の受け止め方は、一人ひとり違うと思います。でも、物語は、それを読んでくれた人が感じたことのひとつひとつが、誤解ではなく、その人にとっての真実だと僕は思っています。違いを通じてすこしずつ互いをわかり合っていく——この小説を読み、誰かに語り、手渡すことが、そのひとつになれば嬉しいです。

その道の途中であなたと出会うことができたら、ぜひこの物語の感想と、あなた自身の物語を聞かせてください。そんな時を楽しみにしながら、僕は自分の道を進んでいきたいと思います。

最後になりますが、もしこの物語を読まれた直後、率直な感想やフィードバックを僕に送っていただけたら、とても嬉しいです。どんな内容であれ、必ずすべて読ませていただきます。また、友人や知人で「読んでみるといいかも」と思う方がいれば、勧めていただければ著者冥利に尽きます。

それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


2026年3月3日 三度目の会社の創立記念日に、父が使っていた書斎にて 馬場祐平


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